第4章 決意
第9話 若者の変貌
■1部■
大きな岩崎の売込み計画はまだまだ続く。
名前を覚えてもらうことは出来た。
しかし、元々、話すことが得意ではない
岩崎はお客様とのコミュニケーションが取れずにいた。
店長の元田もフォローに入るのだが
岩崎は結果が出ない焦りからか、
ますます空回ってしまう。
そんな日々を何日か過ごすうちに
とうとう
接客すること自体怖くなっていた。
元田はまたもや頭を抱える、、、
彼に何を指導すれば良いのか、、、
考え抜いた結果、自信喪失してしまった
部下に1つのミッションを与える事にした。
「岩崎君、君はもう営業に出るな。」
「今のままではお客様に迷惑になるだけだから。」
「今日から商品の仕入れだけ行ってくれ。」
(会話が怖いのに、自分から訪問するなんて・・無理ですよ!)
岩崎はそう思っても口に出せなかった。
しかし、その不安は表情から容易に読み取れた。
そんなことは構わず元田は続けて言う。
「君の今月の目標は15棟の商品の仕入れだ」
「とにかく沢山の家主様を訪問して商品を獲得してこいよ!」
「獲得するまで帰ってくるなよ!」
岩崎はとうとう接客の仕事から外されてしまった
上に、新たに、飛込み営業を指令されたのだった。
■2部■
「君は今日から商品の仕入れだけ行ってくれ」
その日から、岩崎は毎日、朝一番から夕方遅くまで新規の家主様を訪問しまくった。
結果は獲得0(ゼロ)の日々が続く。
(会話が怖いのに、自分から訪問なんて・・・
無理ですよ!!)
そう思うがやるしかなかった。
なぜなら、ここで踏ん張らなければ
「社長になる」という夢も潰えてしまうのだ。
やるしかないのだ!
苦悩する岩崎を辛抱強く見守る
元田には、ひとつの想いがあった。
「結果を恐れて萎縮してしまい、
彼は自分の良さを見失っている。
まずは断られる事に慣れてほしい。」
そして、あっという間に
その月の最終日になった。
元田は岩崎に声をかける。
「岩崎くん、目標達成おめでとう!」
なんと、最終日に【目標15棟】を上回る
【16棟を獲得できたのだ!】
岩崎は元田の期待に応えたのだ!
岩崎は言う。
「最初はNOと言われる事が怖くて、
人と会う事から逃げ出したかったけど、
営業はNOと言われる事から始まる!
という事が分かりました。
そして、そこから、お客様にどうやって認めてもらえるのか、
工夫する事を学びました。」
月初の自信喪失した顔はどこに行ったのか。
なんとも良い表情をしている。
岩崎は毎日断られ続けたが腐らずに取り組み、
目標を達成することが出来た。
足を一歩、踏み出す勇気を
身につけた岩崎は、それから
トップセールスを叩き続ける。
月日は経ち・・・2011年12月。
広島市中区千田町に
1つの会社が誕生した。
会社名は
株式会社ビッグマン。
そこには、今日もお客様と楽しそうに会話をしている
代表取締役 岩崎がいる。
2013/04/05 09:58