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第3章 船出

第6話 幸運のバナナ

 

2003年8月19日

 
 
 
8月の暑い夏、部屋店が初めて誕生日を迎えた。
 
メンバーも増え、2店舗とも順調に売上を伸ばしていった。
 
 
 
第2期にしなければならない事は
 
宅建主任者の資格取得
 
3店舗目の出店」である。
 
 
10月に行われる
 
一年に一度しかない宅地建物取引主任者の資格試験。
 
合格率15%前後の難易度の高い試験として知られている試験だ。
 
今年合格するという強い思いが、
 
松田の心を熱く燃やしていた。
 
 
その情熱に木下も賛同し、2人で受験する事を決め、
 
春から勉強を始めている。
 
 
仕事が終わると勉強、早起きして勉強、休日も当然勉強、
 
まさに勉強漬けである。
  
 
 
 
あの時もっと勉強していれば・・・」
 
などと後悔しないように。
 
 
 
 
懸命に勉強した松田は8月で
 
合格ラインの知識を持つ事ができた。
 
 
 
 
自信を深めた結果、
 
勉強に対する取組みが緩んでしまうのが人の子である。
 
緩んだ途端に一気に点数が取れなくなった。
 
毎日努力して積み上げた知識は、音を出して崩れ落ちるようだ。
 
 
(この経験は今後受験する社員にとって、
とても大きな意味を持つ事になる。)
 
 
 
そして、10月の試験当日を迎えた。
 
 
なんとか持ち直し「やり切った」と語らずとも表情でわかる松田。
 
多少不安な表情をしている木下。
 
ともにバナナ食べて試験会場に向かった。
 
 
(バナナを食べる事は縁起担ぎとして今でも続いている)
 
 
 試験会場では参考書に目を通さない。
 
混乱しない為だ。
 
 
 
試験開始の合図を聞いて2人は得意科目から解いていった。
  
 
松田は手ごたえを感じながら。 
 
木下は焦りを抑えながら。
 
 
 
そして試験が終わった。
 
 
 
 
2人はあまり多くを語らず何かを成し遂げた時の
 
すがすがしい表情でお店に戻った。
 
 
そして運命の解答速報が始まった。
 
 
結果はなんと2人とも合格ラインを超えた点数をとれている。
 
2人は喜びを分かち合いながら
久しぶりの居酒屋に向かった。
 
 
 
そして次に始まったのがテナント探しだ。  
 
来年1月に出店する計画である。
 
またもやあの問題が降りかかった。
 
 
 
 
 
資金だ
 
 
 
 
中心部に出店したいが、簡単には掘り出し物は見つからない。
 
歩いていても、車に乗っている時も、常に空店舗が目に入る。
 
 
 
 
 
これは職業病といってもいいのかもしれない。
 
朝晩には空気の冷たさを感じる季節となってきた。
 
 
 
年内に見つかるのか・・・
 
 
 
 
 
年末年始の特番CMを見る度に
 
時間との戦いを 感じるようになってきた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2012/03/12 20:50

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