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第2章 仲間

第7話 プレゼン

 1月は種まきをした。

 

成果はこれから出てくるはずだ。

 

 
そう、2003年最初の月は
 
良い結果を残すことは出来なかった。
 
 
 
 
準備あってこその
 
結果だといつも松田は口にしている。
 
それにしても、
 
あっという間に1月は過ぎていった。
 
 
 
 
当然、不安がないわけではないが、
 
 
男たちはしっかりとを見ていた。
 
 
 
根拠の無い強がりではない。
 
 
 
着実に来店、
 
契約者も増えていたからだ。
 
 
寒さがさらに厳しくなった、2月某日、
 

狭い店内に6人の男たちが集まり、
 
なにやら盛り上がっていた。
 
 
 
そこでは、
 
とあるプレゼン大会が行われようとしていた。
 
 
そのお題はなんと
 
部屋店の2店舗目をどこに出すか
 
というものだ。
 
 
出店して数ヶ月、確かに少しずつ
 
結果はでてきたかもしれない。
 
 
 
しかし、今の状況を
 
見るととんでもない話だ。
 
 
 
ただ、眼を見ると全員本気のようだ。
 
 
 
みんなできると考えているらしい。
 
 
 
 
全員が揃ったところで、
 
とうとうプレゼン大会が始まった。
 
 
 
 
中本と吹田は、中区十日市地区をアピールした。
 
 
 
理由は明快で、中心地に近いこと。
 
 
「なるほど、確かに」
 
とみんながうなずく。
 
 
 
 
2人から笑顔がこぼれた。
 
 
 
しかし、気のせいか松田だけは
 
本気のうなずきではない様に見える。
 
 
 
 
深呼吸をしてから親切の木下の
 
プレゼンが始まった。
 
 
 
 
 
マーケットは小さいがそこに
 
住みたい人だけがやってくる
 
中区住吉地区をアピールした。
 
 
 
 
「う~~~ん」
 
 
 
 
みんなの反応はあまり良くない。
 
 
 
松田は先ほどと
 
同じようにうなずいている。
 
 
 
 
ここだけの話だが、
 
実はこのプレゼン大会には真実があった。
 
 
 
 
どうしても住吉に出店したいと
考えている者がいた。
 
 
それが松田だ。
 
 
松田はどうしても住吉に決めたかった。
 
 
理由はこちらも明快。
 
ただただこれに限る。
 
 
お金がない!
 
 
「お金がかからず」
 
 
 
「利益が出せる場所」
 
 
そんな都合のいい場所は住吉しかない。
 
 
 
そこで松田は、みんなが帰ったあと、
 
内緒で木下と作戦を練り、
 
 
 
資料もしっかり作り、
 
 
プレゼンの練習も行い
本番に向かったのだった。
 
 
 
ただ、住吉町は中区で唯一
 
「路面電車の走っていないブロック」で、
 
 
一般的には住みたい街と言われていない。
 
 
 
木下は松田と話をして理解はできたが、
 
 
絶対に結果を出さないといけない中での
 
プレゼンは力が入る。
 
 
中本、吹田の2倍は話しただろうか、
 
木下の顔はすこし火照っている。
 
 
みんな外の寒さを
 
忘れさせるほどの熱気で夜はふけていった。

2011/11/22 16:46

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