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第3章 船出

第3話 どういうこと?

 

 

なにやらみを浮かべながら松田は携帯の電話帳を開く。

 
プルプルプル 
 
 
・・・ガチャ 
 
 
もしもし
 
 
 
いつもの聞きなれたハスキーな声が聞こえる。
 
 
そう、あの男とはかつての部下、「下山根」だ。
 
 
部屋店の創業メンバー全員、下山根を知っている。
 
 
同じマンションにみんな住んでいたことがある。
 
 
みんな仲良く若い頃は毎日遊んでいた仲だ。
 
 
 
特に松田は弟のようにかわいがり、下山根も松田を兄のように慕っていた
 
 
突然の電話で下山根は緊張していた。
 
 
上司だった時の松田はとてもしかった
 
 
時に予想していないことをいきなり話しめる。
 
 
「お疲れ様です。お久しぶりです」と、下山根は続けた。
 
 
「おう、お疲れさん。元気してたか?」と、松田は続ける。
 
 
 
2人は何気ない世間話を続けた。
 
 
 
話が進むにつれ下山根も落ち着いてきた。
 
 
しかし、胸騒ぎは収まらない
 
 
そこから10分ぐらい話しただろうか。
 
 
お互いの仕事の話やプライベートの話、昔話や
 
 
松田が退職した後の話など話題はたくさんあった。
 
 
そんな話の中で急に松田が切り出した
 
 
「そうか、それでな、ここからが本題。」
 
 
下山根はドキッとした。
 
 
胸騒ぎが的中しのか
 
 
 
 
今日で会社辞めてくれ
 
 
 
当然すぐには意味がわからない。出た言葉は「えっ」のみ
 
 
想像をはるかに超えた
 
 
部屋店に来てくれないか?
 
 
ぐらいなら想像できたが、まさかの一言。
 
 
だから今日で会社を辞めて、明日から部屋店入ってくれ
 
 
松田は下山根の驚いた声をからかうように再度言った
 
 
どういうことですか
 
 
どういうことですか?
 
 
 
 
下山根は2度言う
 
 
 
一方の松田は落ち着いた様子で、
 
 
そのまんまだよ、今日会社辞めて明日から部屋店来てくれ
 
 
下山根の胸騒ぎ予想えて的中した
 
 
じゃぁそう言う事で、よろしく頼む」と松田が電話を切った。
 
 
今日会社を辞めるなんて、そんなこと出来るわけないじゃないか
 
 
なんでこんな突然なんだよ
 
 
下山根は頭の中がごちゃごちゃになり、そして最後には真っ白になった
 
 
翌日の朝、松田はいつものように熱い缶コーヒーを飲んでいた。
 
 
なぜか確信している。
 
 
 
下山根は絶対来る
 
 
 
顔からはみがこぼれていた
 
 
 
昼過ぎに松田のもとに下山根がやってきた。
 
 
下山根は部屋店で働くことを決意した
 
というか
 
させられた
 
 
 
おもしろいことに、昨日今日の話である。
 
 
快くみんなは迎え入れ、待望新入社員が入社した 

 

 
 
 

2012/01/21 07:38

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