第4章 決意
第1話 決意
2004年新春
まだまだ寒さが身にしみるころ
部屋店の3店舗目である
広島西支店(現在の庚午店)も皆の努力の甲斐もあり
好調なスタートを予感させた。
ただし、1つの悩みがあった。
採用活動についてである。
松田は思いを巡らせていた。
そんなおり
プルルルル・・・
ガチャッ。
「お電話ありがとうございます。
部屋店○○でございます。」
「採用情報を見たんですが。」
数日後、お店に若い女性が来店する。
電話をかけてきた就職活動中の学生だった。
この学生は後に
部屋店初の女性店長になるのだが・・・
当時は
髪の毛は茶髪でパーマ、いかにも今どきの女の子で
「こんな女の子で営業が勤まるのか?」
と全員が思った!!
それには理由があった。
今でこそインターネットで手軽に物件情報を取得出来るが
当時は
業者とお客様との情報格差は大きく
顧客サービス面で決して高い意識をもっているとは
言い難い業界だった。
「部屋店は不動産業ではなくサービス業だ」
松田は常々、
社会に必要とされる為にホスピタリティ精神を身につけろ!
と語っていた。
他の業界では実現できているサービスレベル。
ホテル業界やテーマパークと同じレベルのホスピタリティ精神をもって、
もっと親切で
もっとワクワクして
もっと感動を生むような
「お部屋探し」を演出できないか?
しかし
業界常識に捉われ、サービスに天井を作ってしまっている。
そんな現状に苦言を呈している状態だった。
そのため、その場に居合わせた社員は
不安と違和感を感じていた。。。
だが、松田は違った。
「学生こそが業界常識に捉われずに顧客ニーズに一番近く
顧客の気持ちに迅速に対応出来る人財ではないのか。」
屈託のない笑顔を見せる学生を見て決意した。
当時の不動産業界は経験者採用が主であったが、
松田は、学生の
業界常識に捉われないまっさらな感性に大きな可能性を感じ
新卒採用に大きく舵を切った瞬間だった。
2012/11/02 20:02